Minecraftの進捗を仏語/英語版で見てみる

Minecraftという有名なゲームがあります。

自由度の高い動的なレゴというか、レゴブロックの組み合わせで道具を作れたり、ブロックでできた世界を探検できたりするゲームで、半年前くらいから少し遊んだりいろいろ実況を見たりしています。
自分はゲームのプレイについてはネザー入って生還するのも難しいレベルで、ボスであるエンダードラゴンを倒すなんて夢の夢というくらいなのですが、自由度の高いこのゲームの実況は結構面白いものが多く、いろいろ見ているうちに生半可な知識だけ溜まってしまいました。

ゲーム内には、冒険しながらいろんなことをするうちに達成されていく「進捗」というものがあります。実績解除のメダルみたいなものです。例えば石掘ったら「石器時代」という進捗が達成されますし、エンダードラゴンを倒したら「エンドの解放」が達成されます。これが全部で109個あるらしい。これの全解除を目指している人もそこそこいるらしいですが。

 

ゲーム内でアイコンとして表示される「進捗」のツリー

で、この「進捗」のフランス語版と英語版の表記を日本語版と対照したら結構楽しかったので、面白いものだけメモ的に書き残してみます。進捗のタブ「マインクラフト」「ネザー」「エンド」「冒険」に沿って一応目次を付けました。

各言語は以下のページを参照しています。

Progrès – Le Minecraft Wiki

進捗 - Minecraft Wiki

表現など自分ができる範囲で調べていますが、初学者なので、気になる部分があればお気軽に指摘してくださると幸いです。

 

Minecraft

  • 金属を手に入れる<鉄インゴットを入手する>
    仏 : L'âge du fer  / 英 : Acquire Hardware

    仏語版は「鉄器時代」。石ツールを作ったときの「石器時代」(これは日英仏共通)と対応していていい感じ。日本語版は英語版の直訳っぽい。これに限らず他の進捗も基本的に英語版に準拠しているっぽい感じだった。

  • ホットスタッフ<マグマ入りバケツを作る>
    仏 : Chaud devant !  / 英 : Hot Stuff

    日本語版が英語版をカタカナにしただけでよくわかんないやつ。"Hot Stuff"はスラングで"魅力的でセクシーな人、好色な人"みたいな意味らしい。仏語版 "Chaud devant ! "はレストランで熱いもの運んでるウェイターさんが注意喚起のためにいう言葉らしい。熱いの通りますよ~!みたいな感じ?Wiktionaryにはこれを英語にすると"Hot stuff coming through"になると書いてある。英語版はスラングではない文字通りの意味で使える場合もあるのでしょうか。

  • さらなる深みへ<ネザーに行く>
    仏 : Aller au fond des choses  / 英 : We Need to Go Deeper

    仏語版は成句で「より深く、徹底的に物事を究明する」みたいな意味っぽい。

  • エンチャントの使い手 <アイテムにエンチャントを行う>
    仏 : Enchanté !  / 英 : Enchanter

    良い〜 Enchanté ! は誰もが最初に習う挨拶の一つ「はじめまして!」だけど、enchanté(e) 自体は「とてもうれしい」「魔法にかけられた」などの意味で普通に使われる語で、例えばMozartの魔笛はLa Flûte enchantéeという。

  • アイ・スパイ<エンド要塞に入る>
    仏 : À suivre...  / 英 : Eye Spy

    英語版が好き。と言っても語の広がりをとらえきれている気はしないのだが、I spy で多分「見つけた」みたいな意味だよね?絵本ミッケ!の原題だし。なのでエンダーアイ=Eyeをいくつも投げ、飛んでいく方向に向かって1000マスとか進んで、地下に向かって深く深く掘って、ようやく要塞を見つけたときに出る進捗の名前としてはかなりアツいと思う。……が、因果が逆なのではないかという気もしてきた。むしろこの言葉遊びから、製作者は要塞を見つけるアイテムをEyeにしたのではないか?エンダーアイが眼である必然性はゲーム内のどこにもないわけだし。
    ちなみに子供の遊びでI spy gameというものがあるらしい。人が見ているものを、その頭文字だけをヒントに当てるやつ。あと余談だがEye spyと名付けられたものはほかにもいろいろあるようだ。
    仏語版À suivre...は「つづく(To be continued...)」の意味。suivreの語にエンダーアイのあとを追いかけていくニュアンスも含まれている気がする。


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    ↑雪山でヤギ二頭と見つめあった。このゲームは本当になんでもできる


ネザー Nether

  • 兵どもが夢の跡 <砦の遺跡(廃要塞)に入る>
    仏 : Le bon vieux temps  / 英 : Those Were the Days

    仏語版は「古きよき時代」。英語版も「あのころはよかった……(Those were the good old daysの略で)」みたいな意味のようでだいたい同じような感じ。芭蕉を引いた日本語版が輝いている。

  • 玉ねぎを切っているのは誰?<泣く黒曜石を手に入れる>
    仏 : Qui a coupé un oignon ? / 英 : Who Is Cutting Onions?

    英語では現在進行形なのに対し仏語では複合過去。調べる限り複合過去は過去か現在完了的な用法しかないはずで、「玉ねぎを切ったのは誰?」になるのだが……なんでわざわざ変えた?
    玉ねぎの単複も違うけど調べてもニュアンスの違いはわかんなかった。どっちのほうが自然とかあるのかな。

  • 足のついたボート <ストライダーに乗る>
    仏 : Bateau sur pattes / 英 : This Boat Has Legs

    常にお腹を空かせている人のことをestomac sur pattes(直訳:足の上の胃)って言うらしい。あとMarcher sur trois pattesで「機械がうまく作動しない」という意味の表現がロベールに載っていた。仏語だと歩くものは「足の上で」(「足の上に」?)運ばれているイメージがあるのかも。とするとマグマの中を歩くストライダーを「足の上のボート」と例えるのもちょっとわかる。

  • ブタ戦争 <砦の遺跡(廃要塞)のチェストを開ける>
    仏 : De vraies têtes de cochon / 英 : War Pigs

    tête de cochon(直訳:ブタの頭)で「石頭/頑固者」の意味らしいので、「ホンモノの石頭たち」って感じなのかな?まさにピグリンという感じでいい。英語版はブタ戦争というより戦争ブタっぽい。

  • この道をずっとゆけば <ロードストーンにコンパスを使用する>
    仏 : Le Petit Poucet / 英 : Country Lode, Take Me Home

    <ロードストーンにコンパスを使用する>←何をしてるのか何もわからん。調べたらロードストーンlodestoneはコンパスが指し示す場所を設定できるアイテムらしい。
    英語版はCountry Roadsのサビの歌詞。
    仏語版Le Petit Poucetはおとぎ話らしい。あらすじとしては、木こりの両親に、経済的な事情から森に捨てられてしまった七人兄弟が人食い鬼のいる家に泊まることになってしまうが、小さな末っ子Le Petit Poucetがどうにか機転をきかせてなんかうまいこと親の元に戻るという話。終盤、末っ子が鬼の魔法のブーツBottes de sept lieuesを盗み、鬼の家を目指してぐんぐん走るシーンがあるからそこから来てるのかな。あんましっくりくる感じはしないけど……

  • 不気味で怖いスケルトン <ウィザースケルトンの頭蓋骨を手に入れる>
    仏 : Qu'on lui coupe la tête !  / 英 : Spooky Scary Skeleton

    仏語版は不思議の国のアリスのハートの女王のセリフ「首を刎ねよ!」。英語版は韻踏んでて口に出して言いたくなる感じ。なんかそういうミュージカルがあるっぽい。曲に合わせてマイクラのスケルトンが踊る動画がミームになったとかなんとか。この動画は2015年でウィザスケの追加は2012年らしいけどどっちが先なんですかね。この動画に出てるの全部スケルトンだよね?

    youtu.be

  • ホットな観光地 <ネザーのバイオームを5種類踏破する>
    仏 : Voyage au bout de l'enfer  / 英 : Hot Tourist Destinations

    仏語版は「地獄の果て旅行」みたいな感じで良いのだろうか。ヴェルヌの「地底旅行」の原題が "Voyage au centre de la terre" だけど参照されてるのか?

  • 荒が丘<ウィザーを召喚する>
    仏 : Les Witherables  / 英 : Withering Heights

    英語の元ネタは「嵐が丘」"Wuthering Heights" だけど、それに乗っかってか仏語は "Les Misérables" をもじっている。日本語版は何をしてるんだ?あれがおか?

エンド L'End

  • 口臭に気をつけよう <瓶にエンドラの息を集める>
    仏 : À bout de souffle  / 英 : You Need a Mint

    仏語「息を切らせて」。同名のゴダールの映画(邦題:勝手にしやがれ)があるが関係なさそう。英語版は辛辣。確かにでかいドラゴンの息がいい香りだった展開見たことないけど……
    エンドシティ、一回行ってみたいな~

    youtu.be

     

冒険 Aventure

  • 良い取引だ!<村人と取引をする>
    仏 : Adjugé, vendu !  / 英 : What a Deal!

    Adjugé, vendu ! はオークションで落札・売却がされたときにかけられるセリフのようです。

  • おニューの衣装<鍛冶型で防具に模様をつける>
    仏 : Motif de jalousie  / 英 : Crafting a New Look

    "motifs de fleurs"で「花模様」らしいから「嫉妬の模様」??わかんね~ jalousieはアメリカナデシコ(Dianthus barbatus)の別名でもあるらしい。知らんて

  • おてんば<クロスボウを撃つ>
    仏 : La vieille Bertha  / 英 : Ol' Betsy

    英語版も仏語版も名前ググると戦車が出てくる。「おてんば」どころではない。

  • もったいぶった一言<トライデントを投げてモブに命中させる>
    仏 : Une blague tombée à l'eau  / 英 : A Throwaway Joke

    仏語版は「すべったジョーク」みたいな感じっぽい。直訳「水に落ちたジョーク」なので水中ゾンビであるドラウンドが持ってるトライデントと上手く噛み合ってる。英語版は状況とは関係なく捨て台詞的に言われるジョークのことらしい(throwaway lineとも)けど、例見つけられなかったのであんま具体的にわからなかった。

 

 

とりあえず気になったところは以上で全部です。普通に勉強になるし面白かったのでまたなんか別のコンテンツでもこういうのやりたい。